ノームを醸すガゼボ

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1.はじめに

方形のパーゴラを昨年、手づくりしました。このパーゴラに屋根葺きするとガゼボになります。パーゴラは屋根のない棚で蔓性の植物を絡ませて、雨や日差しを防ぐことを目的としてます。イタリア語で「ぶどう棚」を意味しており、日本では藤棚と言った感じでしょうか。ワキガーデンではナツツタを絡ませています。今回、このパーゴラに屋根葺をしてガゼボにしようと考えましたが、なんとも味気がないのでワキガーデンにマッチしたガゼボに改修することにしました。そこで、このへんのところ深掘りしてみました。

2.イングリッシュガーデンとコテージガーデン

英国の中世の庭について調べていると「風景式庭園」という言葉が出てきます。風景式庭園は、それまでにフランスなどで発達した整形式庭園(幾何学模様)に対して自然な植栽のなかに曲線の遊歩道を配置する、いわば山野や農村地帯の景観をそのまま庭とした広大な庭園です。
これら貴族mobilityや土着地主gentryの庭に対して、そこに働く農奴cotterの住居として建てられた小家屋は「ボロボロのあばら家」の状況にあったようです。のちに半エイカー(約2,000平方メートル)程の敷地に「暖かく快適で簡素な小屋」と庭(ジャガイモやフルーツ、家畜を含む)納屋を配したガーデンスタイルにかわりコテージガーデンという呼び方が定着して来たようです。
また風景式庭園は、イングランドの園芸家や設計者によって発展してきたためイングランドのガーデンスタイルとして広く認識されイングリッシュガーデンという呼び方が定着して来たようです。ちなみに、イングランドenglandの人のことをイングリッシュenglishと呼んでいます。日本では宿根草の庭のことをイングリッシュガーデンとして独り歩きしている感がしますね。

3.ノームの世界を醸すガゼボ

欧州では人間と神の中間的な存在の超自然的な存在である、いろいろな妖精がおとぎ話などで登場します。英国ではガーデンノームと言う長いひげに三角帽の小人の置物が庭に置かれているところがあります。ノームは近世ドイツの鉱夫のあいだで信じられていた「山のこびと」に端を発し、その後、庭を守る存在と見なされ、幸運をもたらすと信じられ英国にも広がって来たようです。
また、ガゼボは屋根と柱だけのシンプルな造りで壁がなく、日陰で休憩をして庭を楽しむ目的で近世以降に流行し、さまざまなスタイルの庭園に取り入れられるようになっているようです。

4.まとめ

ワキガーデンではイングリッシュガーデンやコテージガーデンに拘らず、曲線の小道や密集した宿根草による庭づくりをしてきました。そこで、ノームの世界を醸す「とんがり帽子」のガゼボとして、方形屋根のパーゴラを改修することにしました。
屋根はシングル材で葺こう思いましたが、手間がかかるので小幅板を使って段葺きにしました。とんがり屋根の構造は隅木に足を乗せて、荷重を四本の柱に分散させました。また柱と横架材の取り合いはシンプソン金具にしました。屋根が結構重くなったので構造的に少々気にはなっていますが、様子見と言ったとこです。
ワキガーデンの景観スポットとして宿根草の魅力を醸してくれるものと考えています。

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